住職日記

「長谷寺の住職は現在35世代目。歴史ある寺を守ること、そこから仏教を発信すること、そこが地域に開かれた場となること。課題も夢も山積み。そんな住職の日々と思いをつづります。」

いやな予感的中・・・

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ピン、と来る瞬間というものがある。

予感だ。

今日もそれが的中した。

法事の後の席で食事をご馳走になっていた時のことである。

もうお蕎麦も出で、斉食も終わりだったが、会場の部屋の内線が鳴っていた。

ピン、と来た。

お店の仲居さんが受話器を取り何やら受け答えしたかと思うと、振り向いて僕を見た。

そして、アイコンタクトと右手で受話器を指差した。

電話に出る。

女房の声がする。

「次の法事、12時からなんですってよ」

既に時計は12時34分であった。

「とにかく何でもいいから、Yさんのお宅に急いでね」

予感的中。

しかし、そんなはずはないのだが、思い込んでいたのは僕の方であったか。

つい先日もYさんはわざわざ寺に来て日時を告げていた。

僕の中では14時になっていたが、そう言われて見ると、別れ際にYさんは言っていた気がする。

「お昼時ですみませんねえ」と。

タクシーを飛ばしてYさん宅へ。

45分遅れで住職到着。

参列の家族親戚30名という中へ、入っていく気の重さよ。

きちんと喪服で集った方々が、30人も集まって次第に話題も減っていく中でただ遅刻してくる人物を待ち続けるというのは、どういう場の空気だろうか。間の持たない、はなはだ、虚しい時間ではないだろうか。

ビジネスの重要な商談だったら破談だろう。

しかし、Y家の皆さんはニコニコとお迎えくださるのであった。

仏だ、大人だ。

平謝りの菩提寺住職。修行が足りない。

この暑い季節、ただでさえ出歩くのに気が滅入るのに、みんな法事のために集まっているのだ。

そこへ、45分遅れで登場する住職として、挨拶をする気の重さよ。

「さあ、では気を取り直して」とも言えず、ただお詫びしながら読経へ展開する流れの悪さよ。

そして、お布施を受け取る気の重さよ。

本日は、Y宅の皆々様のご人徳に救われた菩提寺住職であった。

亡き人のためにきちんと法事を営むお宅が多い。

そのような供養の心や、お付き合いを大切にする心によって支えられているのがお寺である。

そうやって祖先を大切にする心を養っていく。

そうやってお寺が守られていく。

法事も終わり、斉食にすすみ、最後まで、Y家の皆さんは和やかで住職を立ててくださるのであった。

隣に座った親戚の方がニコニコしながら言った。

「ご住職、来週は、うちですけど、ひとつよろしくお願いします」

私もお答えした。

「念のため、お時間を確認しておきましょう」

「午後1時から、自宅です」

寺に戻りカレンダーを確認した。

間違いはなかった。

ごめんなさい、の一日であった。

 

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コメント(2)

高岳 里久 :

ふっふっふ、、、お疲れのようですね。
当方、同様の事例数多あり(泣)。
情報を錯綜させる「我忘」という情況と情態。
情報を散乱するウチの住職という存在・・・
う、愚痴ってしまいました。

かような情況では
「アワテナイ アワテナイ 一休み 一休み♪」
どころか「アワワ アワワ」です。

「ひとつよろしくお願いします。」
おぉ戦慄のコノテーション!

長谷寺 :

高岳様

今頃は、日本海の波や潮風に洗われて、上半期の積もり積もったいろいろをすっかり流して再生リニューアルを果たしている頃でしょうか。

タイムスケジュールは、次第に女房が神経をとがらせるようになって、何度も確認をします、私に。。。。

当地の施餓鬼シーズンもいよいよ佳境に入っていきます。
あちこちで「ひとつよろしくお願いします」
そのたびに、「念のため」と時間を確認している私であります。。。

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