住職日記

「長谷寺の住職は現在35世代目。歴史ある寺を守ること、そこから仏教を発信すること、そこが地域に開かれた場となること。課題も夢も山積み。そんな住職の日々と思いをつづります。」

長谷寺: 2014年2月アーカイブ

好きなことば

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詩人・山尾三省さんの『ことば』という詩をお読みください。


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 ↑「山尾三省を偲ぶ」ページより

* * * * * *

 

ことば

 

あなたはどんなことばがすきですか

海ということば

森ということば

いのちということばが

すきですか

それとも

平和ということば

やすらぎということばが

すきですか

それとも

争いということば

憎しみということば

むかつくということばが

すきですか

 

それともまた

しらけるということば

切れるということばが

すきですか

 

私は今

いのちということばと

やすらぎということばが

とてもすきです

 

いのちということばには

わたくしの光があります

安らぎということばには

わたくしの涙があります

 

あなたはあなたで

わたくしはわたくしで

もろともに

ほんとうに心から好きなことばをみつけて

そのことばを大切にし

そのことばを生きていくのが

人間であり

人間社会であると

わたくしは思います

 

いのち

やすらぎ

 

あなたはどんなことばがすきですか

 

* * * * 

 

ことばは、私たちに欠かせないものですが、身近すぎてその大切さをつい忘れてしまうものでもありますね。

その大切さを見失っていると、ことばづかいが乱暴になったり、またことば足らずになって人間関係に不調をきたすこともあります。

日本は、古来「言霊の幸わう国」といって、ことばの不思議な働き、その神秘的な力によって安らぎが保たれる国であると言われているくらい、ことばを重視する文化を持ってきました。

でも、最近は、ネット社会の匿名性ということもあると思いますが、ことばが冷たくて、暴力的になっているのではないでしょうか。国のため、社会のため、命のためという立場に立つ人が、考えの違う人を口汚く罵っているのは、そこに正義があるとしても、何か胸が苦しくなってきます。

 

長谷寺は真言宗という宗派に属していますが、この名前の通り、真言宗はことばをとても大切にします。もちろん真言宗だけではなく、仏教全体が、ことば、言語というものを極めて重視します。

人間の活動を、身・口・意の三つ(三業・業=カルマ=活動、働き)に捉える仏教ですが、この中でもとりわけ口業つまりことば、言語活動を重んじます。ことばの働き、ことばづかいが、私たち人間に与える影響、人間関係にもたらす影響、そして社会に与える影響がとても大きいと、仏教は考えているわけですね。

 

冒頭の詩は、山尾三省さんの作品ですが、三省さんはかつて長谷寺で講演会をした時に、真言宗ということにちなんで、やはりこの詩を最初に読み上げてその日の講演を始めました。

その時の演題は『好きなことば』というものでしたが、要は、真言というものは、突き詰めれば、この詩のように、自分自身が本当に心から好きだと思え、また自分の人生をかけていけるようなことばを求めていくことだ、というわけです。愛なら愛、優しさなら優しさ、感謝なら感謝ということばをいつも自分の暮らしの真ん中にドンと据えて、そのことばを杖に、そのことばをともしびに、そのことばを乗り物に、そのことばを笠に、そのことばを鎧に、そのことばを道しるべにして生きていく。そんな意味で、自分にとって好きなことばは何か?と問うてみる。

 

そして「このことばと共に生きていく」、と、そんなふうに言えるくらいの「好きなことば」と出会えたら、それはとても素晴らしいのではないでしょうか。

 

みなさんにとって、好きなことばは何ですか?

 


チュンダよ、自分を責めるでない

 

季節はめぐり、月ももう終わろうとしています。

信州では、3月15日には月おくれのお釈迦さまの涅槃会(やしょうま)を迎えます。

涅槃会は、お釈迦さまと弟子たちとのお別れの時です。

 

ふりかえれば、この一年の間に、皆さんにもどれほどのお別れがあったことでしょう。遅れ先立つは世の習い、とは言いますが、大切な人を亡くすと、私たちの心中には、本当にさま々な思いが去来しますね。

あの時にこうしておけば、とか、もう一度会っておけば、とか、、、、。

そして時に、私達は自分を責めてしまいます。

 

この大切な人との別れに当たり、自分自身を責めてしまう私たちの心を思う時、私はお釈迦さまの涅槃の物語の中のある人を思い出します。

それは、お釈迦さまに「最期の食事」を捧げた鍛冶屋のチュンダです。

チュンダは、憧れのお釈迦さまに食事を供養できることを誇りに思って最高の食材を用意しましたが、気の毒なことにその時の茸がもとになって、お釈迦さまの体調は悪化してしまいます。

チュンダは、自分の食事のせいでお釈迦さまの死期が早まったことを嘆き、人々にも非難され、とうとう自分がお釈迦さまを死なせてしまうと我が身を責めます。

 このチュンダの心情と周囲の動揺を察したお釈迦さまは、チュンダに向け、そして周囲の弟子らにも聞こえるように殊更きっぱりとこうお説きになります。

 

チュンダよ、私が死んでいくのはお前のせいではない。

私が死んでいくのは、私がこの世に生まれたからである。

 

 私は、この一句を読んだり聞いたりするごとに、お釈迦さまは、未来のすべてのチュンダ、すなわち私たちに向かって語りかけているのだと思うのです。

「あの時に私がこうしていれば、あの人は死なずに済んだのではないか」「いや、ああしていれば...」と、自分を責め、ひとり苦しむ多くのチュンダ。

 そんなチュンダである私達に向かって、お釈迦さまは、「あなたのせいじゃない、心の重荷を降ろしていいのだよ」と語りかけていると思うのです。

 

 皆さんのそばで、チュンダが泣いていませんか。

 知らずにチュンダを責めていませんか。

 あるいは、ご自分を責めていませんか。

 

 

 3月15日は、お釈迦さまの涅槃会、

 皆さんと一緒に、お釈迦さまの言葉に耳をすましたいと思います。

朝の鐘

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朝。

 

毎朝、長谷寺では6時に鐘をついてています。

 

6回、心を込めて鳴らしています。

 

6時だから、6回。

 

今日一日、皆さんが幸せでありますように!ゴーン。

 

 

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それから、観音菩薩さまをはじめとする、

 

すべての菩薩の修行の徳目である、

 

六波羅蜜にもちなみます。

 

布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧、の六つの徳。

 

私たちに、布施の徳、与える心が養われますように、ゴーン!

 

私たちに、持戒の徳、つつしむ心が養われますように、ゴーン!

 

私たちに、忍辱の徳、忍ぶ心が養われますように、ゴーン!

 

私たちに、精進の徳、はげむ心が養われますように、ゴーン!

 

私たちに、禅定の徳、静かな心が養われますように、ゴーン!

 

私たちに、智慧の徳、仏の心が養われますように、ゴーン!

 

 

それから、六道輪廻すなわち

 

地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天の


六つの世界に響くようにならします。

 

私たちの中の、悪をなして止まぬ地獄性、

 

私たちの中の、むさぼって止まぬ餓鬼性、

 

私たちの中の、欲望にとらわれて止まぬ畜生性、

 

私たちの中の、争ってやまぬ修羅性にゴーン!

 

私たちの、四苦八苦して止まぬ人間性にゴーン!

 

そして、天人のような長寿や満ち足りた幸福も、

 

必ず衰えることを知って、

 

天の神々をも導く真実の安らぎへの法、

 

仏陀の大音声の説法の響きである

 

鐘の音が響き渡りますように。

 

 

また、鐘の音はあの世にも響くとも言いますから、

 

皆さんの先祖をはじめ、

 

先だった大切な方々のみ霊が安らかでありますように!ゴーン。

 

毎朝、6時、鐘の音を思って、皆さんもお祈りください。

よく聞いておくれ

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よく聞いておくれ

 

先年、101歳で遷化なされた松原泰道老師は、9歳の時に出家なさいました。


その得度式の時のこと、式がすむと、導師を勤められた松島瑞巌寺の盤龍老師が、少年の泰道坊を優しく抱いて、本堂に掲げられた涅槃図の前に進まれました。そして泰道坊を優しく抱いたまま、涅槃図の中で、お釈迦様の足に手をかけて泣いているお婆さんを指し、次のように語りかけたそうです。


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「このお婆さんは、若い頃にお釈迦様に会いたいと旅に出た。風の便りをたどりお釈迦様をたずねるがいつも行き違い。気の毒にも、娘は旅を重ねて歳をとってしまった。ある日『お釈迦様は、あの沙羅の森にいらっしゃる』と聞いて、ようやくめぐり会えた。しかし、その時にお釈迦様はすでにお亡くなりになっていたので、一言も言葉を聞くことができなかった。泣いているお婆さんをごらん」


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この時、9歳の少年は、老師に抱かれながら何を思ったのでしょうか。大きな絵の中に横たわるお釈迦様と、その足をなでて泣いているお婆さん。じっと絵を見つめる少年に、盤龍老師は静かに続けます。


「わしの話しをよく聞いておくれ。お前は、お釈迦様がお亡くなりになってから二千五百年もたって生まれたが、お釈迦様の教えのお経を毎日読むことができるのだから、いいお坊さんになるんだよ・・・」


老師は、ふところの泰道坊にそうおっしゃって、頭をなでてくれたそうです。


どうぞ皆様も、涅槃図に描かれる、お釈迦様のおみ足に手をかけて泣いているお婆さんをごらんになってください。

そして、老師のお話を思い出し、ひとつひとつの出会いの、文字通り有り難い、その貴さを見つめ直してみましょう。

大~雪

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ゆき ゆき ゆき

 

ゆき ゆき ゆき

 

ふりました~


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「今年は雪が少なくていい」なんて安気にしていたのがうそのように

 

記録的な豪雪。


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(↑雪に埋もれる六地蔵さん)


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境内や参道を雪かき、頑張りましたぁ。

 

で、全身が筋肉痛です()

 

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境内ばかりではありません。

 

近所の道も、地域の皆さん総出で雪かきをし

 

一緒に汗を流して

 

生活道路が通行可能になりました!

 

とっても疲れましたが()

 

みんなで一緒にやった達成感で感激でした。

 

今も、


山梨県など、


豪雪の影響でご苦労されている方がたくさんあります。

 

一刻も早く復旧しますようにお祈りしております。


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 (↑少し融けてホッとするお地蔵さん)



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