住職日記

「長谷寺の住職は現在35世代目。歴史ある寺を守ること、そこから仏教を発信すること、そこが地域に開かれた場となること。課題も夢も山積み。そんな住職の日々と思いをつづります。」

地域のこと: 2020年8月アーカイブ

雨乞い祭り 三十三燈籠「さんじょさん」の由来

昔々、長谷観音のある塩崎の里をひどい日照りが襲いました。

人々は嘆き苦しんで、長谷の観音さまに雨を願うとたちまちに恵みの雨が降り注ぎました。

人々は喜び、8月9日の観音さまの縁日に、感謝の提燈を捧げました。

その時にお参りをしたのが三十三軒の家の人々(現在の塩崎山﨑地区)であったといわれ、これが三十三燈籠"さんじょさん"の始まりであると伝えられます。



江戸時代の初めより始まったとされるこの「三十三燈籠献灯祭」。

地元の人は親しみをこめて「さんじょさん」と呼び習わし、この夏祭りを毎年楽しみにしています。

嫁に出た娘たちも、盆前のこの祭りに合わせて子どもを連れて里帰りをし、家々ではおやきを作って孫たちを迎え、日が暮れると「さんじょさん」に出かけました。

祭り支度に身を固め、大燈籠の大棹を担ぐ山崎の若衆たちの「トーユイトー」という掛け声が遠くから聞え、先頭を駆ける「火縄」の炎が暗い参道に見え、ご神体の到着を告げるカチンカチンという拍子木の響きが近づくと、子どもたちも「サンジョサンが来たよ」と待ち構えます。

そして「ワッショイワッショイ」という掛け声とともに若衆に担がれた燈籠が観音さまの境内に駆け上ってきます。

それにつづく長谷太神楽の音色が祭りのムードを盛り上げ、境内の老若男女は「サンジョサン」が立ち上がるのを今か今かと待ちます。

やがて若衆たちが、長老たちの指図によって見事に大燈籠を立ち上げ、観音さまに感謝の祈りを捧げます。

伝統の神楽が舞われると、いよいよ大燈籠は「打ち倒し」のクライマックスを迎えます。

その瞬間の緊張と、若衆たちの気合とともに石段を駆け下りていく様はとても勇壮です。


「さんじょさん」は、観音経が説く観世音菩薩の三十三変化身の教え(無限に姿を変えて人々を救う慈悲の力)や、天地自然とともにある日本古来の神道のこころ、そして自然への祈りと畏敬がこめられた素晴らしいお祭りです。

   (長野市無形民俗文化財選択)


2020年10月

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