小さなコスモスの幸せ

まだ暑い8月末のこと。
観音堂の横の石段を少し直していただいた時、ぽっかりと小さくて平らな土のスペースができました。

観音堂は山の斜面に建っています。
その横で、ごく狭いとはいえ、平らな土のスペースはとっても貴重。

この石段の上の小さなスペース

むむ!確かあれがあったはず!

引き出しには、いつかどこかにまこうとしまっておいたコスモスの種。
裏返すと、遅咲きの丈の低いコスモスで、まき時は7月~8月。
遅くても8月にはまかないと、花が咲かないらしいです。
そして今日は、8月最終日・・・。
これってセーフ?

ともかく、「今日はまだ8月」と言い聞かせて、種をまきました。

やがて数日後、ポツンポツンと小さな芽が!
しかしどう見ても、ただの小さな草です。
「草じゃないからね、コスモスだから抜かないでね(咲かないかもしれないけど・・・)」と住職に伝えます。

それから毎日、細いコスモスが少しずつ伸びるのを二人で楽しみにするようになりました。今日も伸びている。背丈が低いコスモスって、最終的にどのくらいの丈になるのかな?花はちゃんと咲くかな?

細いけれど、毎日確実に伸びてゆく

朝夕ずいぶん涼しくなってきた10月のある朝のこと、観音堂でのお勤めから戻ってきた住職が、「コスモスにつぼみがついたよ」と嬉しそうに知らせてくれました。早速見に行くと、わ~あるある、丸いつぼみが!

きゅっと丸くてかわいいつぼみ

そして数日後、ついに花が咲きました!嬉しーい!

10月後半の今日も、観音堂横の小さな場所で、薄いピンク、濃いピンクのコスモスが毎日次々に咲いています。

「今日も咲いたね」「たくさん咲いたね」
何だか毎日優しいプレゼントをもらっているような気持ち。

暮らしに彩りを添えるもの、日々の暮らしを少しだけ楽しく幸せにしてくれるものは、大きなものでなくていい。そんなふうに思う、ささやかなお寺暮らしの日々です。

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