住職日記

法事のシーズン

この時期は、「新盆」があるので、法事が続く。

どうしてお盆は、こんなに暑い季節なのか。

 

想像する。

あまりに暑くて、日中は田畑に出ても何にもやる気が起こらないから、家でゴロゴロしているしかないご先祖たち。

 

その様子を、「ああ、今時分に行くと、みんなおるわい」と、あの世からご覧になるそのご先祖。

 

ご先祖たちがお帰りになるから、おまつりだおまつりだ、と親戚一同寄り集まって先祖を囲んで賑やかに飲み食い。

祖霊が家の中に居るという感覚は、考えてみると、凄い。

 

そんな普通の感覚ではない感覚で、数日間を祖霊とすごして、春からずっと続いてきた農作業(&地域共同体づきあい)でだいぶ疲れていた生者の心もリフレッシュ。閉鎖的な環境で心身にたまったもやもやが、あの世と交信してすっかりさっぱり。

で、お盆を過ぎると、かすかに秋の風が吹き始めて、ちょいと涼しげになる。

さあて、収穫に向けて頑張ろうかいの。

 

 

あの世から、還って来る祖霊たちも、ホームステイみたいな感じなのかなあ。

さあて、今年もちょっくら行って来るかの、なんてベテランの先祖に比べると、新盆の霊は、初めてだし、別れたばかりだからちょっと照れくさいとか。

だから、初めてのお盆で格別の法事を営んで、そんな不慣れな新人の霊をお迎えするようになったのかもしれないな。

「そんな照れないで、住み慣れたお家じゃないの」みたいな。

 

ご法事に行くと、家々で霊との付き合い方というのか、カラーがある。

凄く慣れている感じ。ご本家とか、何代にもなるお家には、やはり実に自然な対応というか、「あ、お帰りですね」という気配がする。

殊更、特別なことをしているわけでもないのに、ご先祖が帰ってきている感じがする。

一方で、初々しい、ギコチナイお宅もある。我が家もそういうタイプだ。

ご先祖も、「えっと、わしはどこに居たらいいかなぁ」と、やや戸惑っているような、そんな印象。

 

でも、どんな付き合いも、年月を重ねていくと、打ち解ける者。

ぎこちなかったお宅も、数年もすると、いい感じに祖霊たちがまさに我が家の如くに羽を伸ばしているように感じられてくる。

 

いよいよそんなシーズンである。

暑さに負けないで、た檀家さんと一緒に、亡きみ霊を迎えて、ご先祖のお帰りを喜んで、いっぱい拝もう。

コメント

  1. ALLEZ より:

    日本のお盆はいいですね。
    ご先祖のために会社や学校も盆休みだ。
    迎え盆には提灯もってお墓にお迎えにいく。
    そして家族そろって、天ぷら食べて、お酒飲んでワイワイ。
    ご先祖様も楽しく過ごせることでしょう。
    今年もいいお盆になれ~~

  2. 雨ニモマケズ より:

     法事といえばお布施がつきものだが、葬儀紹介サービスを行っているイオンが、最大の法事である葬儀の際の「布施の価格目安」を打ち出して、仏教界から反発されているとのこと。
     まったくもって、ここまで来てしまったか、という感じ。宗教的行為までをも、商品化してしまうとは・・・。
     精神世界をも対象化、客観化、即物化してしまう現代人のメンタリティ、無信仰ぶりは、いつか必ず猛省される時がくると思う。

  3. 長谷寺 より:

    ALLEZさま
    九州や沖縄では、お盆の時には一族郎党でお墓にござ敷いてご先祖を向かえて宴会をする習慣が今も盛んだそうですね。
    迎え盆の時に、車に乗ってくるお檀家さんの様子を見ると、ご先祖さんたちもあの車に乗っていくんだなあ、とちょっとほのぼのした気持ちになります(笑)
    いいお盆になれって、いい言葉ですね。

  4. 長谷寺 より:

    雨ニモマケズさま
    私も、イオンの動向とその発想を注視しています。
    しかし、イオンほどのグループが参入するということの意味を真剣に考えたいと思います。
    一方で、我々僧侶がイオンを批判するのは筋違いなのではないかと思います。おそらく、葬儀や法事を通じて、日本人が大切にしてきた精神性や宗教的な価値観を、僧侶こそが商品化や即物化のうねりから守る努力をしなければならなかったのです。
    出家主義の原始教団とは別に、ストゥーパ周辺でブッダの遺徳を讃えながら在家者の仏教を進めた人々が、生活者の立場から大乗仏教運動を展開していったように、消費経済の中に身を投じていく僧侶の中から、この市場原理という輪廻からの解脱の道を切り開くような仏教運動が生じてこないとも限りません。
    例えば、イオンが「大施主」となって、こうした僧侶紹介のサービスに対する支払い(布施)の一部を、地域に還元したり、葬送や終末期医療への支援に当てていくような「功徳」を積むことになれば、回向の精神がふたたび現代に機能し始めることもありえます。
    仏教界は、批判するのではなく、イオンのような地域に対する巨大な影響を持つ企業に対して、ブッダが商業都市で多数の雇用を擁する新興商人に法を説いたように、より豊かな社会貢献をしてもらうべく、提案していくべきではないかと考えます。
    葬送に参入するものに対しては、死の文化の担い手としての責任を強く訴えたいですね。
    イオンも、その責任を果たさないでただ利己的な利益優先で早々で儲けようとすれば、バチが当たります。
    いずれにしても、僧侶の責任は大きいです。

  5. ゆうこ より:

    はじめまして。
    こんばんは。
    昨日某お寺で奥さまの釈迦涅槃図絵解き拝聴させて頂き大変感動致しました。
    お釈迦さまのご誕生からの流れがとても分かりやすく、どんどんとその世界に引き込まれ
    最後の方は、なんだか感動でウルッとしてしました。
    旨く表現できませんが、心が洗われるような清々しい気持ちになりました。
    機会がございましたら是非又もう一度拝聴させて頂きたいと思います。

  6. 長谷寺 より:

    ゆうこさま
    ありがとうございます!
    長谷寺では、毎年3月15日にお釈迦さまの涅槃会(常楽会・やしょうま)を行い、絵解きをしています。
    その他にも、依頼により各地にお邪魔してお絵解きさせていただいていますし、予約により行っています。
    またぜひご覧下さい。

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