住職日記

「長谷寺の住職は現在35世代目。歴史ある寺を守ること、そこから仏教を発信すること、そこが地域に開かれた場となること。課題も夢も山積み。そんな住職の日々と思いをつづります。」

もっと大変な人がいます

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このたびの台風19号により、私の暮らしている長野市にもにも、おとなりの千曲市にも、また長野県全体にも大きな被害がありました。

千曲川流域の被害だけでも5000棟を越える家屋が浸水の被害に遭いました。

赤く色づいて収穫を迎えるりんごは全滅し、刈り取られたばかりの大量のお米も流されました。

東京ディズニーランドの30倍となる1500ヘクタールが濁流に襲われました。

寺の檀家さん信者さんのお宅にも床上、床下浸水が多数発生し、家財の多くを失った方も少なくありません。

私どもの寺には被害がなかったものの、日頃寺を支えてくださる檀信徒さんの暮らしが壊れてしまったのです。

さっそく総代さんたちにはかり、菩提寺を共にする仲間の応援に行く計画を立て、寺役員や有志30人ほどでいくつかのチームに分かれて、家や庭に流れ込んだ大量の泥出しや、だめになってしまった家財道具や畳を搬出する作業をしに行きました。

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家族にとっての大切な思い出の品も、仏壇も、水と泥によって流され、壊されていました。

地域で守る墓地も根こそぎ倒されていました。

そんな中、寺の総代さんや役員さんたちは、被災した檀家の家々を回り、精一杯の作業をして檀家仲間の応援をしました。

この災難の中、さまざまな縁によって、みんなが助け合っています。


また私は妻とともに浸水被害に遭った檀家さんのお宅一軒一軒にお見舞いに伺いました。

被害の様はそれぞれですが、日常が崩れ去ってしまった事実を知るには十分な惨状です。

片づけや復旧の作業に追われるご家族に、声をかけるのもはばかれる思いでしたが、お見舞いの声をかけると作業の手を休めてそれぞれの被災の実情を話してくださいました。

話すことが少しでも気休めになればと願うばかりでしたが、驚かされたのは「うちも大変だけど、私たちよりもっと大変な人がいるから、何とか頑張ります」と話されることでした。


「もっと大変な人がいます」。


この言葉を何度聞いたことでしょう。

この言葉は、どこから来るのでしょう。

苦難にある人が自分を励ます言葉なのでしょうか。

災害の多い国で生きる人々の言葉なのでしょうか。

この言葉を胸に、前を向いて歩もうとしています。

奈良 明日香村 岡本寺さま「はがき説法」より

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